〜いすゞ Gemini ZZ/T のある生活〜

★★ マグネチックスイッチの交換

Last Update 2006.04.04
ある日、PF銀次のキーを捻ると「カチン!」という音がして、セルモータが回らなくなった。
何度か繰り返すと、セルモータだけが「シューン」と空回りする音が聞こえるようになった。
たぶんセル本体は生きてる。

更に何度かキーを捻ると、ようやく「キュルキュルキュルブルブル、ぶわぁ〜ん」と、目覚めたのだった。
ホッとしたと同時に、ヤレヤレやっと掛かったか、という気分でもある。

何度か繰り返している内に、キーを差し込んだ状態から一気にセルを回すと、掛かり易いことも判ってきた。

これ以上、症状が酷くなる前に主治医に診てもらうことにした。

写真をクリックすると拡大表示されます。


 

セルモータが付いている場所。
右の黒い大きな歯車はフライホィール(クロモリ)。
セルモータはフライホィールの歯車を駆動することで、エンジンを始動します。
しかし、それではエンジンがかかってもセルモータは歯車で繋がったまま
ということになってしまいます。

そのため、セルモータにはバネと電磁石を巧みに使って、
始動時だけフライホィールの歯車を繋ぐ仕組みを持っています。
セルモータの歯車は軸方向にスライドするのです。
 

セルモータの上部に付いている円筒形の物体。
その中身は密閉式の電磁石と大電流スイッチ。
(整備書には「マグネチックスイッチ」と書かれています)

大電流スイッチはセルモータにバッテリから電流を流すためにあります。
電磁石の役割は・・・さらには丸い針金、これはバネですが・・・さて。

電磁石はイグニッションキーを始動に位置に捻ると通電する仕組みになっています。
すると、赤い矢印の棒は電磁石の作用でバネに打ち勝って、引っ込みます。

エンジンがかかると普通はイグニッションキーをオンに戻しますね。
すると、電磁石は電源が切れてしまうので、赤い矢印の棒はバネによって引っ張り出されます。

この赤い矢印の棒の動きが、セルモータの歯車を軸方向にスライドさせる動きにつながります。
 

赤い矢印は、円筒形の物体のから出入りする棒と逆の方向に動きます。
テコの原理でセルモータの歯車をスライドさせます。
 

 

赤い矢印で示した箇所がテコの支点となって、
セルモータ(右側の大きな円筒形)の歯車をスライドするのです。
 

 

右がキーオン、またはキーオフの状態。
左はキーを始動まで捻った状態。
歯車が戻るのは、円筒形の物体に付いているバネの力によるものです。

円筒形の物体に内蔵されている大電流スイッチは、
歯車をスライドしてから閉じる(オンになる)仕掛けになっています。

つまり、歯車がフライホィールにかみ合ってからセルモータが回る、
という順序で動作します。

私のPFがキーを捻ると「カチン!」という音を立てていたのは、
歯車がフライホィールに当たる音だったわけです。

セルモータが回らないのは、電磁石が弱っていて歯車がスライドし切れず、
大電流スイッチがオンにならなかったから、という結論でした。

キーを差し込んだ状態から一気にセルを回すと掛かったのは、
電圧が一瞬落ちる前に、電磁石が弱いながらも動けたためだったのでしょう。
 

分解ついでに、セルモータの外壁に張りついているコイルと、奥に見えるブラシの様子。
いいのか悪いのか、素人には判断付きません(^^;;;
 

 

組み立てし直して、バッテリに繋いで動作チェック。
治った。


教訓

セルモータは大電流で極短時間だけ動作するように設計されています。

また、セルモータに電流を供給するスイッチ(大電流スイッチ)も、短時間の使用を前提としています。

では、バッテリが弱っていて、長々とセルを回すと、どうなるか。

まず、大電流スイッチが発熱します。もしかすると焦げるかもしれません。
私は117クーペの同スイッチで発煙を経験しました。

また、電磁石は熱に弱いものです。電線が焼けて抵抗値が高くなってしまいます。
一度、抵抗値が上がれば、自然に下がることはありません。

バネも熱には強くありません。
勤続ですから、過熱・冷却を繰り返すと変性して弱くなるか、固くなって折れるかします。

いずれにせよ、機械仕掛けで動いているものです。
セルモータ本体が強力に動いてさえすれば、電磁石も大電流スイッチも長生きできます。

バッテリ交換の際には、セルモータの調子を気にかけるのが吉です。


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