〜いすゞ117Coupe のある生活〜

★★ 117にヨットを積んで水遊び!

たしか1990年頃だったかと思いますが、会社の先輩に誘われて長年の憧れだった
ディンギーヨットの世界に踏み込みました。
大阪北港ヨットハーバーでヤマハ・シカーラという、2枚セールながらシンプルな設計のフネが
始まりでした。

北港ヨットクラブの草レースに参加するうち、自分のフネが欲しくなりました。
当時乗っていた、これまたヤマハのSR400というバイクを売り払い、一人乗りの、しかし本格的な
レーシングディンギーを新艇で手に入れました。
それが、このページで紹介する『SABOT(サボ;木靴)』です。

重量22Kg、全長9feet(約2.7m)という可愛い大きさですが、サボは小さい船体の割に
セール面積が大きすぎる(12feetクラスの面積)ため、ハンドリングが難しくなります。
それは、
・方向転換(タック・ジャイブ)の際に乗り手が移動するスペースが狭すぎる。
・相対的にマストが長すぎるので人間が乗っていないとバランスが採れず、正常に浮いていられない。
・船首形状から、プレーニングに入るまでの加速が難しく、バウ沈(舳先が水面に突っ込み、前のめりになる)しやすい。
・いかなる風域でも完璧なロールタックが要求される。
・セール頂上のツイストが風上を向きやすく、強風下のランニングではアンヒール沈(背中から海に落ちる)の
 コントロールがラダーだけではできず、大変難しい。

思い出すとまだまだいろいろとありますが、サボに乗れたら、ほかのどんなディンギーでも大丈夫と思えた
ものです。
そして、毎週日曜日になると、こんな難しいフネをファミリアワゴンに積んで、芦屋浜(香炉園)に出かけていき
フリート仲間とレース練習をしたのでした。

しかしまぁ、ヨットといいPFジェミニといい、自分の闘争本能に少々振り回され気味な私です。
 

写真をクリックすると拡大表示されます。


その1 Before/After


その2 ルーフキャリア

 

スーリーのルーフキャリア。117用としてのラインナップは消滅したらしいですが、
最終型スターレットに同じようなものが付いているのを見たので、挟み込むルーフサイドの
厚みさえ合致すれば、他社の流用はできると思います。
 

  

  

フロント側は、三角窓のすぐ後ろ辺りにフックを掛けると安定します。
キャリアの四角い棒は大変強度があり、上方中央の写真に見えるネジを締め過ぎると
屋根が凹んでしまいます。手で揺すってしっかりしていれば問題なし。
ネジは両方を同じ堅さになるように。
 

  

フックの構造。
サーベルラインには殆ど傷は付きませんが、薄いゴムシートでも挟めば完璧でしょう。


その3 レーシングヨット「SABOT」

 

  

このヨットを買ったころは多分、私の人生の中でもっともハードな大酒飲みな時期だった。
今でも大好きなロンドン・ドライ、「GORDON’S DRY GIN」 こいつのラベルをパウチして防水。
おなじくコースターも当時行きつけのバーでもらって、木工用ボンドで防水加工。
酒の方は今でもマティーニからスタートする習慣が続いているが、
ヨットに乗る習慣は永い間、気持ちの中でフリーズされたままだった。


その4 積み込み

  

 

船体をルーフキャリアに載せる。
重量は新品当時で22Kgだったが、どうしても海水が入ってしまうので、中に入っている
発泡スチロールに含まれる残留塩分で重くなってしまう。
船体を担ぐ写真(左上)はデジカメの10秒タイマーで撮ったものだが、数度のトライの結果である。
キャリアに載せるときは腰を上手く使って、勢いで載せる。
載せたら、タイベルト(これはTERZO)で一杯に締めつける。
タイベルトはかなり長いので、余った部分を使ってマスト&ブームを縛りつける。
 

  

マストはアルミパイプで3段つなぎである。
中央の写真はブームの先端のアップであるが、使われている部品はハーケン(HARKEN)という
文句なしの世界の一流品である。買って十数年経つが、フィーリングはまったく衰えない。
ブーム先端に位置するセールの部位をアウトホールと呼び、セイルコントロールの大変微妙な
役割を持っている。そのため、ボールベアリングを使った台車により微調整を可能にしている。
他のディンギーヨットに、ここまで凝った装備を標準で持ったフネは無い。
また、買ったのはSABOTの中でも最上級グレードであり、他にもあちこちにハーケンの
パーツがふんだんに使われている。いい値段だったが、道具で言い訳をしたくなかったのだ。
 

 

マストは通常、バングシート(右写真・黄色のロープ)で一まとめにできる仕掛けになっている。
船体重量も同じ発想であるが、可搬性を考慮してのことである。
私は安全のため、ベルクロテープを2本使って、都合3箇所を縛っている。
 

船体の隣にマストをくくり付ける。
ヨットで培ったロープワークの考え方を活かして、簡単には緩まない方法を毎回考えている。
 

  

船体・マスト・ブーム以外にも小物がいろいろあります。
左はセンターボード、中央はライフジャケット・ラダー・セール・潮抜き用の真水。
運びやすいようにコンテナ化して、117の後部座席を倒して積み込みます。
ちなみにキャンプ用品も同じような方法で積み込みます。
 

  

出動に備えた117クーペ。


その5 マーブルビーチにて

   

浜辺で組み立てたSABOT。ちいさいハル(船体)に巨大なセール。
乗りこなすのに、まる一年かかりました。
どのくらい奥が深いかは、ココ に書かれています。
それこそ一年中乗っていました。世の中はスキーブームだったのに、私は海の上。

久々のセーリングは関西国際空港の向かいにある、マーブルビーチ。
そこそこ広い無料駐車場・自動販売機・トイレと三拍子揃った設備に加えて、
風向が比較的安定しているように思います。
かつて西宮で乗っていたときは、強風でも180°風向が変わることがあり、
とても神経を遣いましたが、ここでは思う存分走れます。
 

  

ひとり乗るのが精一杯のデッキレイアウト。
いろいろと実験的なセイルを作ってくれた MACDIARMID SAILS
ファクトリー・サボのスタッフが、あのマリン・イラストレーターTadami氏に
直談判して描いてもらったというセイルマーク。





Last update 2003.07.21

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