★★ 純正オーディオでMP3プレイヤとFM送信機を使う。
〜いすゞ117Coupe のある生活〜
Last update 2006.12.10
KENWOOD のカーステ「RX−250」を撤去し、純正オーディオに戻したので、
カセットテープが使えなくなった(というか、以前より勝手なオートリバースが治っていない)。
そのこと自体はカセットテープをMP3ファイルに変換してしまうことで、
省スペース化と取扱い容易性という形でメリットに変換できた。安価なカセットテープ・インタフェースでMP3プレイヤーを使ってきたのだが、
このインタフェースにも欠点がある。
長期間使っていると、テープを巻き取る回転部分がコキコキ・・・と鳴りだして延々と続くのである。そこで、FMトランスミッターを使ってやるのが、当面は現実的な解だろうと考えてみた。
117クーペの純正FMラジオはアンテナ位置の影響か、感度はあまり良くないのだか、まぁ仕方がない。FMトランスミッターにアンテナ線を後付けして伸ばすと、電波法に抵触する恐れがあります。
最近はカーナビ向けに車体アンテナ線を分岐させるケーブルが出てますので、この分岐を使って
受信側のアンテナを伸ばす(これは合法です)方向で感度向上を考えましょう。なお、117純正FMラジオはアナログチューナで、機械式プリセットチャネルが2局分しかない。、
私は1チャネルを民放FM(FM大阪 85.1MHz)に、もう1チャネルをFMトランスミッターに固定している。
他局を聴く場合はダイアルを丁寧に回して選局することになる。
面倒だがバッテリを勝手に喰われるよりずっといいし、純正オーディオの音はソフトなのである。FMトランスミッターを手に入れて、内部構造と、どの程度使えるか試してみた。
写真をクリックすると拡大表示されます。
乾電池(または充電池)を交換する煩雑さはありますが、
センターコンソールのグローブボックスにMP3プレイヤーと一緒に入れておけば
シガライターソケットまで電線を取り回す必要がない点が気に入って、使うようになりました。肝心の音質はアルカリ乾電池の場合に「可もなく不可もなく」というところ。
便利なのは充電池が使える(音質は落ちる)ところと、電池が減るとステレオがモノラルになること、
困るのは充電池のスペアを持っていたくなること。
充電池の持続時間は経験値で6時間くらい。
(パナソニックのニッケル水素電池 1.2V 650mAhを使用)
アルカリ乾電池だと10時間くらい。
電池残量が判らないので、充電池をこまめに充電して使っています。
パッケージ
説明書を兼用しています。
と言っても操作は簡単で、無くしても困ることはないでしょう。
外観
だいたい名刺と同じ大きさで、邪魔になりません。
電源スイッチ、周波数スイッチともに固く、指先の感触で操作するのは慣れが必要です。
電池ボックス
開けるのが少々固いですが、柔らかめの樹脂なので割れたり壊れることはなさそう。
むしろ、大変頑丈な造りです。
基板
四角い大きい物体がこのFMトランスミッターの心臓部、
ROHM社のPLL−IC BH1417F です。
アンテナの長さはオーティオテクニカ AT−FMT7DCより短いです。
センターコンソールのグローブボックスにカーステレオのアンテナ線を引き込んで、
やっとステレオで聴ける程度の電波出力です。
電源が電池なので仕方がありませんが、非常に弱い。
発振回路
フィリップスの74HC4060Dという、発振器とバイナリカウンタ(分周器)が入っているICで構成されています。
いろいろな方が製品レビューされており、音質については概ね良いと評価されています。
私は音質と同じくらい中身に興味があるので、とりあえず分解。右写真の通りヒューズを外して、爪の位置に気をつけながらマイナスドライバで、こじ開けました。
薄くて割れやすそうなプラスチックですが、意外に弾力があります。
基板が納まった状態。
スイッチもヒューズも一体構成で、下手に電線を使っていないので信頼性は高そうです。
コストダウンにも貢献してるんだろうな、きっと。
直径1mmくらいの銅線をクネクネと曲げてある送信アンテナ。
外して延ばしたわけではないですが、長さは80cm足らず。
アンテナを折り畳むのは本来、効率のよいアンテナとは言えませんが、
製品形状を満たすには、これしかなかったのでしょう。白いシートのしたにもいろいろと部品が詰まっているのですが、半田付けしてある
アンテナを取り外してまで、写真を撮る根性が無かったので勘弁してください。角目117のアンテナはリアウィンドに熱線と一緒にプリントされているので、
シガーライタからは2m近い距離になります。
これではたして電波は届くのか。
黒くて四角い物体がこのFMトランスミッターの心臓部、
ROHM社のPLL−IC BH1417F です。
データシート(PDF)を読むと、良い製品の礎になれるように、
いろいろと機能を折り込んであるようです。データシートには、各部の等価回路やアプリケーションノートの記載があり、大変親切です。
が、プリント板の接続を追って回路の善し悪し云々を言えるほどアナログ回路には強くないので、
気が向いたら、いかなる工夫がされているのか調べてみたいです。
韓国製? Sound Plus
大阪・日本橋のPCショップで買いました。
でもハングル文字ばっかりで、私は全然読めないんです・・・
左写真のシガーライタソケットにはヒューズが入っていました。
オーディオ信号は、右写真にあるブタの尻尾のような約10cmのケーブルにある3ピンジャックで繋ぎます。
電源スイッチは中央にある青いボタン。これを押すとすぐ上にある赤いLEDが点灯します。
基板にある周波数設定スイッチの設定表兼電池カバー。
送信周波数のレンジは結構広いですが、設定を変えるにはケースを開ける必要があります。
この電池カバーを開けても設定スイッチにはアクセスできません。
SUNTAC FMTS201 は3種類しか選べませんが、ケース側面にスライドスイッチで簡単に選択できます。
分解してみました。
クリーム色の長方形は単三乾電池2本を収納するスペースですが、スイッチ設定表で閉ざされています。
電極には半田付けしたような痕跡があるので一度は試したのでしょうが、電池が持たなかったのか、
あるいは電圧降下が早くてPLL−ICといえども安定動作しなかったのか・・・謎です。
(実験すればいいのですが、根気が続かない(^^;)
中央にある黒いICは SUNTACで使っている BH1417F の姉妹品 ROHM BH1416F です。
真ん中の写真と右の写真に写っている金属製のバーは送信アンテナです。短い!
赤いコイルは高周波(FMの周波数)に関連する部品なので、触ってはいけません。
変形させると、それだけで動作の安定度が変化します。
青いボタンの影に隠れている白い物体はボリュームですが、入力レベル調整なのか、
あるいは周波数の微調整なのか、FM変調度(使用帯域)の調整なのか不明です。
データシートがあるのと、比較的シンプルなプリントパターンなので、
リバースエンジニアリングも難しくないのですが、それで音質が改善するかどうかは賭なので。
基板の裏側。アンテナが回り込んでますが・・・まだ短い。
このFMトランスミッター、SUNTACの製品に比べて明らかに部品数が少ないです。
後述しますが、このことが音質の差となって現れているような気がします。
使ってみた。
CREATIVE社のMuVo2FM(5GB)という、FMラジオ・録音機能などなど付きMP3プレイヤー 。
「ここにも置ける」というくらいの意味しかない写真です。
実際には、革張りの肘掛けがグローブボックスになっているので、
その中に、暴れないように注意して入れておきます。
ハードディスクが入っているので、カタカタ揺れたり、急ブレーキで
どこかに飛んでいったりするのは好ましくないのです。
SUNTAC FMTS201をシガライターソケットに差し込んだところ。
この製品にも電源スイッチがあるのですが、いちいち操作するのは面倒なので、
単純に抜き差ししかしません。
なお、電源が入ると青色LEDが眩しいくらいに光ってくれるので、
最近は裏返し(LEDが下向き)にしています。
左は妖しく光るSUNTAC。夜間撮影ですが、車内イルミネーションより明るいのが判ると思います。
右写真はハンドパワ〜、ではなく、人間がアンテナの役割するのか、FMラジオに入る
受信電波レベルが確実に上がり、ノイズが消えます。(静電結合か?)
そう、電波の出力レベルは、たかが2mでも届くか否か、ぎりぎりのところにあったのです。
Sound Plusを肘掛けの上に置いて使ってみました。
電源ケーブルがあるので、本体は比較的自由に配置できますが、
オーディオ信号を取り込むブタの尻尾が短いという罠があるので、ままなりません。
そして、この製品もこの位置にもかかわらず、FMラジオのノイズが消えません。
SUNTACより電波が弱いのでしょう。左写真はMuVoを胸ポケットに入れ、SoundPlusをぶら下げた格好です。
電源ケーブルが邪魔ですがドライブには支障なく、なにより人間アンテナ効果で、
SUNTAC同様に受信レベルが向上します。
肝心の音質ですが、SUNTACのほうがダイナミックレンジが広いように感じました。
MuVo2は音質には定評がありますが、その音質を発揮するボリュームレベルは
経験的には25段階の音量調節のうち20段前後です。SUNTACは20段以上に上げても歪むことなく「ちょっと詰まり気味かな〜」くらいですか、
SoundPlusで同様のことをすると確実に歪みます。SoundPlusでいい音を得るには
音量調節を20段以下にする必要があります。その分、カーステの性能に頼っているんですね。
音質もSoundPlusは堅いキンキンとした音質ですが、SUNTACは音源なりの自然な感触です。SUNTACは自動イコライザーのようなものを持っているのかもしれませんが、
部品数が確実に多いことを見ると、実際にもオーディオ処理回路に注力していると
考えても差し支えないように思います。
さすがに自社HPに「クラス最高の音質」と書くだけのことはありますね。
ちょっと
イタズラ実験SUNTACのアンテナを延長する効果があるかどうか、実験してみました。
丸い橙色の部品は10pFのセラミックコンデンサです。
このコンデンサで、アンテナ線端とオーディオ信号をブリッジします。これでSUNTACとMuVo2を繋ぐ、平たく長いケーブルがアンテナになる、イヒヒヒ・・・という訳です。
でも、効果はありませんでした。
本当にFM波がオーディオケーブルに乗っているかを知るには、
高精度の電界強度計でもあれば簡単にわかるのでしょうが、
ヒースキットの超古い手作りディップメータくらいしかない。
安物のラジケータ+ゲルマニュームダイオードという古典的な手もあるが、
手持ちのパーツが無い。それにもっと肝心なのは、MuVo2側の回路がどうなっているか判らないこと。
「カラ破りすれば・・・」という声も聞こえそうだが、壊したくないのねん。
それに、「C11」ってコンデンサ・・・アースに繋がってるかも。かくなる上は、内蔵アンテナに電線巻いて、静電結合(誘導?)アンテナしかないか・・・ちっと悩ましいところ。
MuVo2はバッテリ駆動で、電源供給ができるこの機種を使うことは無くなりましたが、
ダッシュボードの中で眠っていたので、引っ張り出してきました。MuVo2は+5V充電なので、+4.5Vが供給できる本機は使えなくもないでしょう。
が、MuVo2はリチウムイオン電池を採用しており、満充電からチョット使って充電・・・という
使い方を繰り返すと寿命が極端に短くなります。
ノートPCなどでは、ACアダプタで使うときはバッテリを外しておくことが
バッテリを長持ちさせるコツとされていますが、MuVo2も同じことなのです。シガライターソケットから1.5V/3V/4.5V/6Vの各電源を供給しつつ、
FMトランスミッターも内蔵してしまう、一見するとなかなか合理的な作り。
でも、電源ケーブルも音声ケーブル太いのでちょっと使い辛いです。
手前の黒く丸い円盤が周波数調整。一定の周波数に固定されるものではなく、可変式です。
シガライターソケットに抜き差ししていると周波数が変動してしまいます。円盤の左にあるのは電圧切り換えスイッチ。LEDが供給電圧を教えてくれますが、
実際には↓のスライドスイッチも合わせてセットする必要があります。電源ピンの形状。
上に付いているツメをスライドさせて、必要な電圧にセットします。
シガライター側の電圧選択と、電源ピンの組み合わせが違っているのがミソ。左写真は4.5V/6Vを供給するときの位置、
右は1.5V/3Vを供給するときの位置。なかなか凝った作りですが、実際にCDプレイヤに繋ぐときには、
ツメが戻らないように押さえながらさしこむ必要がありました。
基板の表面。
かさばる電解コンデンサと、高周波回路(むき出しのコイルとシールドコイル)のパーツが目立ちます。
ケーブルの取りまわしも結構厳しいものがあります。
ジグザグに曲げられた細い銅線はアンテナ。
16ターン×高さ約12mm=約192mm。
高周波アンテナは表皮効果(高周波電流は電線の表面を流れる性質がある)が
期待できるので、SUNTACのように太い銅線を使ってもらいたいところです。
(自分で作り替えればいいのですが)
基板の裏側。
黒く丸い周波数調整の円盤は、一見すると可変抵抗か可変コンデンサか判りにくい
のですが、パターンをたどってみるとトランジスタのベースに繋がっています。
つまり、トランジスタによる自励(じれい)発振回路と思われます。
コルピッツとかピアースCBとか中央にある黒いICは日本無線NJM2035というもので、FMステレオ変調専用です。
PLL回路など、送信用高周波回路は入っていません。
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