★★ オートエアコンの効率アップ?
〜いすゞ117Coupe のある生活〜Last update 2010.09.18
117クーペのオートエアコンは、室温をを均一に保つために並々ならぬ苦労をしている。暑ければ冷風を増量し、寒ければ温風を吹き出す。
季節の変わり目ともなれば、朝は温風、昼間は冷風、日没に従って徐々に吹きだす風も冷風から温風に変化する。この働きは、クーラーとヒーターが同時に働いて初めて可能になる。
つまり、両者が生み出す風を、室温センサが開閉指示するミックスドアで混ぜ具合いを調整して、
しかるべき室温を保てる風を吹き出しているのである。2010年の夏は近年稀に見るほどの酷暑だった。
各地で熱中症が続発して連日ニュースになった。
我が117クーペの仲間たちにも、オーバーヒートの憂き目にあった方もおられるとお見舞い申し上げる次第である。
(多発した水害に遭われた方々にもお見舞い申し上げます)さて、そんな(当時としては)複雑な働きをするオートエアコンである。
が、この年の酷暑にあっては、温水が常に室内に来ていると思うだけでゲンナリしてしまう。
なんとなく、エアコンの冷気を意味なく(と言う訳でも無いが)邪魔している気がしてならないのである。
冬はオートエアコンをONにしなくても寒さを特に感じない、というオーナー諸氏もおられよう。では、その温水の無駄な還流をストップできないか、と考えてみた。
以下は、その方策の記録である。
写真をクリックすると拡大表示されます。
ピンクの円で示すのは、エンジンが生み出す負圧が漏れないようにするための安全策、チェックバルブ。
負圧は左の円筒形の容器に溜めて(円筒のなかは弱い真空状態)、エンジンの吸気脈動を吸収することで
常に安定した一定の負圧を供給できるようになっています。
矢印で示す円盤状の物体は、負圧で開く温水バルブ。
負圧で開く仕組みを採用した理由は判りません。私が察するに、エンジン始動から上述の円筒タンク(バキュームタンク)に負圧が生じて温水バルブを開くまでには相応の時間が掛かることを逆手にとって、エンジンの暖気(=水温の上昇)に合わせて温水バルブが開けば充分、
という判断があったのかもしれません。ちなみに、マニュアルエアコンでは、温水バルブは室内の温風レバーで直接開閉します。
こうなると、暖気を待って温水を供給するなんて、呑気で悠長な仕掛けの存在理由は消し飛んでしまいますね。
否、117クーペは、水温が充分に上がるまで待てる余裕がある、そんな人達の乗り物だったのかもしれません。
バキュームタンクから延びるパイプは、温水配管(前掲2枚の写真)の裏側にあります。
冬にヒーターが効かないトラブルを抱えるオートエアコンは、この位置まで負圧が届いているか
指先で確認してみるのが診断の一助になると思います。負圧はエアコンの状態に関わらず年中無休で供給されるので、エンジンが掛かった状態でパイプを抜いて
指先でパイプを塞ぐと、負圧系が正常ならば吸いつく感覚が明確に判ります。
さて、このページの本題です。
温水の無駄な還流をストップするには、バキュームタンクに負圧を溜めるのを止めて、温水バルブを常時閉じる。
これが一番手っとり早い方法です。温水バルブ側の負圧パイプはエンジンの高温で劣化し、硬化している事が多いので触らない方が無難です。
そこで、バキュームタンク側に目をつけた訳です。矢印で示すのは木ねじです。
太さはパイプに合わせて適当なものを使っています。
肝心なのはパイプに亀裂を入れないこと、抜け落ちない事の2点です。
チェックバルブが負圧の流出を防ぐとは言え、古いパーツですから、木ねじで補ってやる事が大切です。以下の4点を設定してから作業に掛かりましょう。
(1)CIRCボタンを室内循環にする。
(2)エアコンのノブを「AUTO」から「2」または「3」に入れる。
(3)エンジンを始動して冷気が出ることを確かめておく。
(4)(3)の状態を維持したままエンジンを止める。温水バルブが故障したとき、やむなくマニュアルエアコンのバルブを付けたことがありました。
バルブの開閉にはボンネットを開ける必要があり、冬は寒さに痺れてからバルブを開ける始末でしたが、
夏のエアコンの効きは素晴らしかったものです。幸か不幸か、2010年夏はお財布の都合でクーラーガスを補充できず、従ってエアコンを使う事もなく
街乗りでも省燃費(13km/L)を達成し、冷房病も肩凝りも無縁で三角窓の恩恵を強く感じた夏なのでした。
【重要な注意】
バキュームタンクに溜まる負圧は、次の3種類の機能コントロールに使われております。
(1)温水バルブ、(2)ミックスドア、(3)外気導入/室内循環[CIRC]
そのため、バキュームタンクからの負圧を止めると、オートエアコンそのものとは
直接関係ない(3)CIRCボタンも機能停止してしまいます。
具体的には、木ねじを差し込んだ時点での外気導入/室内循環で固定されるという事です。ご承知置きください。
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