〜いすゞ117Coupe のある生活〜

★★ 純正ファンが歪んだ?!

2005年5月3日、毎年の恒例行事となっているセントラルサーキットの旧車レースに、ビデオ撮りのために117で出かけた。

ゴールデンウィークの最中に開催されるレースを観に行くには、ちょっとした気合と工夫が要求される。
ほかでもない、渋滞回避のテクニックである。
ひとつは早朝出発(概ねam6時頃)、もう一つはルート選択(阪神高速湾岸〜六甲越え〜三田IC〜加西IC)である。
しかし2005年は、折からの体調不良のため出発はam10:00、ルートは最終的に宝塚ICまで一般道で、という
厳しい状況に陥った。

今回のエピソードはその道中、六甲超えに賭けるべく、国道43号線に向けて中央大通りを走っていたときの出来事だった。

港区に入ったあたりの信号待ちで、エンジンから異常な振動を感じた。
元々、いすゞのG型は独特の振動(ビートというか心地よいもの)があるのだが、この時の振動は「ゴロゴロ・・・
という音&振動であって、しかしハンドルには伝わらない未体験のものだった。

気にはなったが「取り敢えず様子を見よう」と思った。
トラブルなら、ある程度拡大した方が見つけ易く、また、サーキットを諦めることもたやすい。

青信号で発進、何気なく水温計を見ると100℃である。
流れに乗って走っていると、一般道ではそこまで上がらないのだが・・・と、疑問と原因を考えつつ次の信号で止まった。

相変わらず振動が出ている。水温計を見ると120℃寸前である。
思わずボンネットを開けると、なんと、ファンがシュラウドに引っかかっているではないか。
エンジンが回っているのは、フルードカップリングが空回りしてくれたお蔭だったのだ。

偶然にも止まった信号の脇(というか歩道)にはクルマを止めて余りあるスペースがあった。
少々慌て気味に歩道に乗り上げ、ボンネットを開けてエンジンを止める。
リザーバータンクからは冷却水が温泉のように噴出している。危ないところだった。
引っかかっているファンを外して、ラジエータの損傷と冷却水の漏れをチェックすると、幸いなことに無事なようである。

積極的なエンジン冷却のため、エンジンを掛けてみる。
フルードカップリングが滑りまくっていて、ファンはプロペラ飛行機のようにノロノロと回り始め、やがていつもの風量を
供給してくれた。
水温はどんどん下がり、リザーバータンクの残量アラーム(LED)が点灯したので、常備している水を足してやった。

こうして、停車時間にして約20分で水温は約80℃に戻り、無事にサーキットまで往復することが出来た。
勝因は、以下の点に集約されると思う。
  (1)ラジエータキャップが正常に機能した
  (2)オーバーヒートさせなかった
  (3)予備の冷却水を持っていた
  (4)ラジエータが偶然にも無事だった

このページでは、どのようにファンとラジエータが損傷したか、紹介したい。
 

写真をクリックすると拡大表示されます。


 一番の原因 

 

左はトラブル時のファン、右はファンを交換した修復後。
羽根の角度が違うのが判るでしょうか。

長年の発熱を受け続けた結果、ファンが前方に向けて反ってしまったのです。

ラジエータの3層化、サーキット走行、過去数回のオーバーヒートなど、
高熱を受けた要因は様々です。


 トラブル直後 

引っかかっているファン。
このままでもフルードカップリングが空回りすることで、エンジンは回り続けます。
アッというまにオーバーヒートします。

しかも、フルードカップリングは強引な空転による発熱で、すぐ機能しなくなります。
 

  

シュラウドに着いた傷跡。
傷跡が微妙に錆びていることから、過去、何度か接触していた可能性があります。
あなたの117も時々チェックした方が良いかも。
 

   

ファンによって傷ついたラジエータ。
幸いなことに放熱フィン(横渡しの薄い鉄板)の破損で収まっていましたが、
使い続けることは賢明ではありません。

この状態で一日を走りきれたのは偶然だった、と思います。


 破損状況 

 

遠目には一見大丈夫そうなんですが・・・
 

 

羽根が反っているのがよく判ります。
 

 

シュラウドにヒットしたのでしょう、削られた羽根。
 

 

シュラウドが負けなかったので、その分、ファンが削られることと相成りました。
 


 修復後 

綺麗なファンとフルードカップリングを使って直りました。
 

 

元々の間隔はこの程度あったのですね。
 

 

充分なクリアランスが見て取れます。


 


Last update 2005.07.01

TOP PAGE に戻る


メールはこちら