〜鉄道模型SNS「トレイン・トレイン」に展示協力〜
★★動揺セットの製作記録Last Update 2009.09.10
依頼内容から浮かんだのは
『人間の本能に、視覚的に訴えるものが無いかもしれない』
という危機感でした。他のブースでは車両の走行展示が当たり前になっているのに。
「トレイン・トレイン」の展示ブースは車両静展示とブログ連携だけ?
わざわざコンベンション会場でパソコンを観てくれるのだろうか・・・
それがSNSを売り込む方法なのだろうか。そんな勝手な危機感から、381系自然振子構造の動揺展示を思いつきました。
作業日を追って、写真で製作を紹介します。
写真をクリックすると大きなサイズで表示します。
2009年8月8日
大阪日本橋にある共立エレショップの2階、太陽電池を扱う棚で見つけた「ソーラームーバー」。
これを採用したのは、盗難防止の観点から毎回車両を保管するという一文が依頼書にあり、3日つづく展示の際に毎回スイッチを
操作してもらうのはリスキーで不確実だという発送が元になっています。
この製品は、蛍光灯の明かりがあれば自力で揺れ始めるので、展示係員の手を煩わせる事がありませんし、気苦労を与えることもありません。さっそく取り出して、揺れ具合を確認、機構上の弱点を見つけ出し、揺れのトルクを感覚的に知ることから始めました。
付属の標準振り子を外して、より軽い厚紙とBトレ標準の磁石連結器で揺らせてみて、標準振り子との揺れの違いから
標準振り子の特性(最適な重量、最適な磁力、重心による振幅とトルクの変化)を調べました。調べる、と言うと大袈裟ですが、標準振り子にナットを追加してみたり磁石を追加して、変化の傾向を観察しただけです。
ただ大切なことは、この変化を知ることが、もし車両が揺れなかったときの対処方法を理論的に考えるための材料になる、という事です。一番やってはいけないのは、テストもせずに、いきなり最終形を作ってしまうことです。
これをやると、なぜ動くのか把握できないため、揺れなかったときの対処が行き当たりばったりで迷走し、完成の目処が立ちません。
特に今回のような、出展期日が決まっている場合には致命傷になることがあります。
標準振り子の重心を高く取ることで振幅もパワーもアップする傾向を掴んだところで、余っていた光ファイバ(三菱レイヨンのエスカ1mm)を
ライターで炙って適当にクランクを作り、実際に車両を揺らせてみました。
光ファイバは圧倒的な軽さから絶対有利と思いましたが、支持点の遊びから左右に車両を押す力が逃げてしまい、失敗しました。
また、場所を取り過ぎるのも問題でした。クランクが長すぎるのと、遊びが大きすぎるのが原因と考えました。
標準振り子の直近に車体を置いて、短いクランク機構を真鍮線で作って、車体を揺らせてみることにしました。
まずは、梁を渡してレールを設置、大体の寸法を把握しておきます。
つづいて、車両を線路に固定。
線路ごと車両を梁に固定。車両先端と振り子があまり遠くならないよう、位置決めします。
動力源となる小さな太陽電池も取り付けて、ガラスを軽く磨いておきます。この時点でも、果たして揺らせる事が出来るのか、簡単なテストをやってみました。
車体側面を突き上げて揺動が持続するかどうかの実験動画 その1 (MOV形式 4.77MByte)
車体側面を突き上げて揺動が持続するかどうかの実験動画 その2 (MOV形式 4.76MByte)
2009年8月9日
クランク機構を真鍮線で幾つも作り、やっと落ち着いたのが写真の姿。
ここで重要だったのは、動揺を止めた時、クランク機構の各関節が綺麗に直角を成している事でした。
関節は直角から左右に±何度か動くのが一番効率的で、このことにより日々の確実な起動と、長時間の揺動を得ることが出来たのです。クランク機構の縦の真鍮線は中央で突起状になっていますが、これは長さを調節するための遊びです。
1/12スケール電動RCカーが大流行したころ、プロポとステアリングの間隔、トーイン等を調整する方法として、よく使われました。Bトレ標準の磁石カプラを使ったので、振り子&クランクの微妙な調整ができたのは幸いでした。
重量バランスの関係から車体には細工をしたくなかったので、重心的にもセンターにある連結器にクランク機構を連結しました。
2009年8月17日
動揺セットが完成してから。
直射日光を浴びては勝手に起動しユラユラと耐久試験を始めて、部屋の明かりを消したら止まる。
展示台一式を発送する日の朝まで、そんな状態が続きました。
設置する大体の位置を赤マジックで書き込み、実際に置いてみて違和感無いことと、白いピンが見えにくい事を確認。
ダンボールの専用収納ケースを即席で作って、丁寧に収納。
いざ、「トレイン・トレイン」事務局に向けて発送。