〜鉄道模型SNS「トレイン・トレイン」に展示協力〜


★★展示セットの製作記録 


Last Update 2009.09.10


「トレイン・トレイン」からの条件に、車両は概ねA4サイズに収まる量という指定がありました。

同時に、展示の際は透明アクリルカバーで覆うとも説明がありましたが、
なぜか、そのカバーの高さは説明にありませんでした。

なぜ、高さの表記が無いのだろう?

A4サイズと納得した瞬間、展示セットは自分で用意するものだと思い込んでしまった私は、
透明アクリルカバーの高さという、ある意味ヘンなところに感心が向いてしまったのでした。

そもそも、依頼内容は「車両貸し出し」なのです。

そんな勝手な想像が暴走して、私が見せたかった「床下からの眺め」を、
アクリル鏡と透明アクリル板の組み合わせで実現させてしまいました。

また同時に、設営スタッフが車両の扱いに気苦労するのは容易に想像できたので、
車両を展示台に固定することで、現場での容易な取り扱いができるように考えました。

作業日を追って、写真で製作過程を紹介します。

写真をクリックすると大きなサイズで表示されます。


2009年8月6日

  

「展示台=アクリル素材」という単純思考に従って、ホームセンター・コーナンの素材を見て歩き回ること、一時間。
素材を見た瞬間に幾通りもの展示イメージが湧くので、イメージをラフスケッチしながら、かつ限られた予算で「ツブシの効く」素材を買っておきました。
結果的には定規のようなアクリル板一本が余剰になりましたが、買い足しはありませんでした。
 

  

一番最初にイメージした展示方法。
この日、この写真をトレイン・トレイン事務局に送って、電話で問題点(ガラスは使っていないか等)を確認して、本格的に作業を開始しました。
展示方法の相談無くして勝手に進めると、あとになってお互いに気まずい思いをする破目になるので、この確認は非常に大切なものでした。
 



2009年8月9日

    

車体の内側をアクリル鏡に映し出せるように、レールの枕木を最小限残して切り取り。
 

   

真鍮線でフックを作り、車軸を枕木に引っかける事で車体を固定しようとしました。
しかし、思いの外、上手く固定できませんでした。GM台車のピポット(車軸受け)の強度がないのが主な原因だと考えています。

振動テストの動画(MOV形式、4.8MByte)

   

とりあえず真鍮フックを作り上げましたが、台車を枕木に引き付ける力が弱く、KATO密連カプラの硬いしなりに負けて脱線する始末。
 

    

思い切って、床の突起に0.5mmの穴をあけて、真鍮線を通して枕木にくくり付ける事にしました。
この処理は大正解で、展示品一式が発送から帰着するまで、全く問題が起きませんでした。
展示台から車両を解放する際にも、ニッパで真鍮線を切るだけで済みます。
(展示台の再利用性は、また別の話)
 

  

D51、マイテ49−2、EB10は、透明アクリル板一本にレールを敷いた上に載せて、連結状態で発送・展示すること想定しました。
 

    

各車両の固定には気をつかいました。なるべく真鍮線が目立たないようにしたかったからです。
走り以前に自律安定性に疑問を持たれるようでは、展示する意味がありません。
しかし、展示会場の環境は生易しいものではないと想像しました。子供が展示テーブルにアタックすることも考えておきべき、と思いました。

    

マイテ49−2の台車は上下方向の力には意外に弱く、車体を固定する真鍮の張りが強いと簡単に浮き上がってしまい、みっともなくなります。
 

   

EB10は加重でトップヘビーになっており、連結器が壊れない範囲で真鍮線に張りを持たせるのが難しかったです。
 
 


2009年8月11日

   

日々、強制振子機構と同時開発(というか、気分転換の為に両方やる)という状態でした。
強制振子の利き具合、車体の傾斜を如何に見せるか、展示テーブルの配置も日々変わっていきました。

 
 



2009年8月17日

   

強制振子車両の目処が立ったので、展示台をまとめ上げることにしました。
黒い床に黒いスチレンペーパー(1cm厚)を黒い強力両面テープで貼り付けていきました。

最終的な配置を決めるため、なんども試行錯誤を繰り返しました。
 

   

ほぼ最終形態になっています。
JR西日本・スーパーくろしおの先頭車の傾斜は、出展時には逆の方向に傾けてしまったのですが、改めて写真みると、
この写真の配置をキープして、クロ381の特徴的な運転台を残し、クハ381の正面板を外して内部構造を見せた方が
良かったと反省しております。
 

レールをアクリル板に貼り付けるための接着剤「アクリサンデー」。
初めて使いましたが、その取り扱いは病院の注射器より慎重に(たぶん)ならざる得ない、なかなか手強い接着剤です。

添付の針とスポイドで使う分だけ吸い出してレールに流し込むのですが、揮発性が非常に高く、指先の温度だけで内圧が上がって
針の中に残っている接着剤が何度も派手に噴出しました。

説明書には噴出の事まで書かれていませんが、ティッシュペーパで針先を押さえておくこと、液体温度を左右しないことが成功のコツと知りました。
 

  

  

ようやく展示形態、完成です。
念の為、写真を撮られるとどう写るのか試してみましたが、よく考えると既に変更出来ないので、単なる記録になってしまいました。
 

  

D51、マイテ49−2、EB10の載った透明アクリル板を固定するのは、実は一カ所だけ。
「揺れる381系」の裏に隠れる形で、ひとつで落ちないようにしています。

押しピンの差し込みは水色の矢印に1mmの穴があり、見つけやすくするよう赤いマジックで周囲を軽く塗ってあります。
 

発送用の箱に収めて、この日はお終い。
 
 


2009年8月18日

  

展示説明書を作るため、幾つか矢印を書き込んでいます。
「揺れる381系」の設置位置を示すために写真に記入し、アクリル板にも赤マジックで大体の位置を書き込んでおきました。
 

  

いよいよ梱包です。
「揺れる381系」は専用に小箱を作って収納。
”プチプチ”(エアキャップ)にくるんだ展示台と一緒に入れて、新聞紙を詰め込んで出来上がり。

でも実際はこれでは足りず、脱線、車輪が外れるトラブルは数両ありました。
GM台車の如何を問わず、展示台に車両を固定して送る場合は台車に遊びが無いように、しっかり詰め物をしておく必要を感じました。
そもそも、車両を固定しなければトラブルは無かったものと思われます。

なお、係る輸送中の保険適用は「容易に修復可能で、本質的な損壊ではない」と私が判断し、事務局にもその旨を伝えて「適用外」にて了解されました。
 
 

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